米国ではFRB(連邦準備制度理事会)の利下げを受け、住宅市場の回復が期待されている。不動産業界ではこれまでの高い金利で住宅市場にあるゆがみが生まれ、回復を阻害しているとの声が聞かれる。米国・マンハッタンの中心から車で1時間、住宅市場の今後を占う米国・ニュージャージー州ウエストフィールドの住宅街を取材。売り出し中と書かれた一軒家は築100年以上の中古物件で改装工事中。不動産会社「コンパス」のスージー・ミンケンさんは「FRBの急速な利上げが住宅市場にゆがみをもたらした」と考えていて、「住宅市場は“まひ状態”に陥っている」と語った。米国では、金利が極端に低かった2020~2021年に住宅ローンを借り換える人が続出。利上げ開始以降は、家を売りたくてもローンを高金利で組み直す必要があり、家を売りたくても手放さない人が増加。中古住宅の在庫不足につながっているとされている。米国では1980年代〜1990年代中盤に生まれ、人口の多いミレニアル世代が子育て期に突入。潜在的な需要は高く、在庫が回復すれば販売も伸びるとミンケンさんは考えている。