パリ五輪自転車トラック種目代表・太田海也選手。五輪の自転車で日本選手初の金メダル獲得が期待される24歳だが、実は競技を始めて僅か2年余。武器は爆発的な瞬発力。ことし2月の国際大会。世界の強豪を一瞬で抜き去り、優勝をつかんだ。ともとはローイング競技に励み、高校時代は総体で全国優勝するほどの実力だった。ローイングで五輪出場を目標に大学に進んだがタイムが伸び悩み挫折。大学を7か月で中退し、地元に戻った太田選手は失意の中、たまたま訪れたのが岡山・岡山市内の自転車店。cycle shop Feedom・恒次智店長は、高額なロードバイクを求めた太田選手に思わず声をかけた。スタッフを募集していることを知ると太田選手はその場で働きたいと伝えた。店で働くかたわら、恒次店長の勧めでロードレースに参加すると最初の大会から優勝。恒次店長は「抜群にセンスがある」、太田選手は「あの日がなかったら、今の自分はいない」と語った。偶然の出会いで見いだされた自転車の才能。2021年5月、競輪学校に入学。僅か7か月で卒業すると、強化指定選手として自転車競技を開始。そこから2年余でローイングで果たせなかった五輪出場をかなえた。太田選手は「心が折れなければ、絶対にたどり着けるところがあると思う」と語った。挫折を経て、太田選手が手にした心。その心と鍛え上げられた肉体でパリで目指す走りは。太田選手は「目指しているのは新幹線。いちばん内側をぶれることなく走る。“自分の力を出し切った”と言っているときは、きっとメダルも獲れていると思う。金メダルが取れるように頑張る」と語った。
住所: 岡山県岡山市中区竹田15-1