全米野球記者協会所属の記者30人の投票により選ばれるMLB主要4賞。その最終候補が決定した。新人王候補にはナ・リーグからメッツ・千賀滉大、ア・リーグからは新人トップの28HRを放ったオリオールズ・ヘンダーソンらがノミネート。また、サイヤング賞では今シーズン、ナ・リーグで17勝をあげているザック・ゲーレン。ア・リーグは過去に2度、2位となり苦汁をなめたヤンキースのゲリット・コールが有力候補に。ナ・リーグ最優秀監督候補にはブリュワーズのクレイグ・カウンセル監督、ア・リーグでは藤浪晋太郎所属のオリオールズのブランドン・ハイド監督などがノミネートされた。そしてMVP候補としてナ・リーグでは史上初の40HR・70盗塁を記録したブレイブスのアクーニャJr.、そしてア・リーグでは3年連続で大谷翔平が名を連ねた。
ナ・リーグ新人王のファイナリストに挙げられた千賀滉大。育成出身選手初のメジャーリーガーはシーズン前、夢の舞台への思いについて「日本での僕とこっち（アメリカ）での僕は本当に人が違うと思っている。硬い顔で野球をするのは僕のキャラでは正直ないけど、全力でぶつかっていく姿が本当の千賀滉大だと思っているので、それを見てもらえたら」と語っていた。その言葉通りアメリカ版・千賀滉大は1年目からフル回転。29試合に先発しチームトップの12勝、防御率ではリーグ2位と抜群の成績。そして代名詞の「おばけフォーク」は世界最高峰の舞台でも通用し、積み上げた奪三振は驚異の200に。勝利への執念から感情を爆発させる場面も多く見られ、1年目でメッツファンの心を掴んだ。新人王に輝けばイチロー・大谷翔平に次ぐ日本人5人目の快挙となる。ライバルとなるのは俊足・強打の外野手、ダイヤモンドバックスのキャロル。チームをワールドシリーズへ導き、ルーキーとは思えない数字を残したキャロルと千賀は新人王を争う。一方、同じくメジャー1年目のレッドソックス・吉田正尚はリーグ5位の打率・15本塁打の成績を残したが、新人王のファイナリストには選出されなかった。
MVPの行方は。ア・リーグの最終候補は大谷翔平とレンジャーズからコーリー・シーガー、マーカス・セミエンの2選手。大谷は今シーズン44本のアーチを描き日本人初のホームラン王を獲得。さらに自身初の打率3割超えや出塁率・長打率でリーグトップに。投げては2年連続の2ケタ勝利。二刀流で輝かしい成績を残した。ライバルとなるシーガーはリーグ2位の打率をマーク。ホームランは5位タイ。セミエンはリーグ最多安打に輝いた。ちなみに2人はワールドシリーズでも大活躍し、シーガーはシリーズのMVPを獲得した。しかしMVP投票はプレーオフ前に行われたため、その活躍は無関係。ホームラン王をはじめ複数の部門でトップに立ち二刀流で活躍した大谷のMVP受賞が確実視されている。先週発表された前哨戦の「選手完投票」ではア・リーグ最優秀野手に輝き、大谷選手は「選手たちに選ばれるのは大きいことですし、光栄なこと」と話した。大谷が初めてMVPを獲得したのは2021年。9勝46ホームランの活躍で日本人初となる満票受賞となった。去年はリーグ史上最多HRを放ったヤンキースのジャッジに及ばず受賞を逃した大谷。今年2度目の受賞となると日本人初の快挙。さらに2度目の満票受賞となればなんとメジャー史上初の大快挙。MVPの発表は日本時間17日。また一つ大谷が歴史を刻むのか注目される。千賀投手がノミネートされた新人王は日本時間14日に発表される。