今開催中の大阪・関西万博は多くの人で賑わっているが、兵庫県でも44年前に博覧会が開かれた。1981年に開かれた神戸ポートアイランド博覧会について伝える。神戸市のポートアイランドの完成を記念して開かれた。新しい海の文化都市の創造をテーマに、世界各国、地元や国内の企業グループが数多く参加。合わせて32の展示館では参加企業たちが趣向をこらし、バラエティー豊かなパビリオンが並んだ。期間中1600万人以上が訪れ、人気パビリオンでは10時間以上の待ちも発生し、大盛況となった。その後の地方博覧会ブームの火付け役ともなっている。そのポートピア’81について熱心に調べ、県内各地をめぐって痕跡を探したりグッズを集めたりして情報発信している若者がいる。なぜ自身が生まれる前の博覧会「ポートピア’81」に惹かれるのか。その魅力を一緒に探ってきた。酒本健実さんは会社員として勤務する傍ら、神戸ポートアイランド博覧会について調べている。博覧会に興味を持ったきっかけは、2年ほど前、神戸市内を散歩中、路上の花壇にポートピア’81の文字を偶然発見したことだった。この花壇はポートピア’81の会場に置かれていた花壇。情報を集めていくと、会期後、神戸市を中心に県内各地で再利用されていることがわかり、これまでに96か所、600個近くの花壇を見つけている。花壇をきっかけに博覧会そのものに興味を抱いた酒本さんは、当時のチケットや会場マップ、記念メダルなどのグッズも集め始め、展示会を開いて多くの人に見てもらう取り組みもしている。これまでに調べ上げた内容を3冊の冊子にまとめるほどの力の入れよう。酒本さんがさらに調べていくと、県内各地で当時の展示物が転用され、その記録を今に伝えていることがわかった。兵庫県西脇市の郷土資料館には、博覧会で展示されたフーコーの振り子が置いてあった。フランス人科学者が考案した振り子で、地球が自転していることを実感できる装置として鉄鋼メーカーのパビリオンに展示されていた。東経135度、北緯35度の線が交わる西脇市が日本のヘソと呼ばれていることから寄贈されたというが、2011年以降、1度も動かしていないという。酒本さんはここで思いがけず別の展示品にも出会った。収蔵庫で大切に保管されていた中南米やアジア、アフリカなどの民俗衣装。ファッションをテーマにしたパビリオンに展示されていた。酒本さんは今も博覧会ゆかりのものを探し続けている。この日は神戸市立森林植物園を訪れた。ここにはジャイアントセコイアの巨大な切り株がある。この切り株はその大きさで見た人を圧倒し、パビリオンの中でも注目の展示となった。アメリカのカリフォルニア州から運ばれてきたもの。この日、園内で唯一、当時のことを知る福本市好さんに話を聞くことができた。5メートルを超える巨大な切り株を運ぶのには、大きな苦労が伴った。途中道路を封鎖したり、通過する橋を補強したりするなど大がかりな計画を実行して、やっとのことで運んだ。切り株をクレーンで吊り上げ天窓から運び入れた。酒本さんは、「神戸ポートアイランド博覧会ゆかりのものをこれからも探していきたい」と話す。神戸博ポートピア’25は大阪や兵庫県内で随時開かれる予定。
住所: 大阪府大阪市此花区梅香1-6-13
URL: http://uguilab.com/shikaku/about_skk.html
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