島根。安来市古川町の足立美術館には、日本画の大作と日本庭園を目当てに国内外から年間45万人が訪れる。苔庭の奥には枯山水庭が広がり、人工の庭が自然の山々に溶け込んでいた。白砂青松庭のモチーフは横山大観「白砂青松」。亀鶴の滝も大観の画を模して人工的に作ったもの。大観作品のコレクターとして知られた実業家の足立全康が1970年、生まれ故郷の自然を背景に大観の日本画の世界を再現しようと試みた。山裾まで続くかのような庭園には横長の植林帯があり、奥の道路や田んぼを見せない舞台装置となっている。足立全康は窓枠で庭を切り取ることで立体絵画のように楽しめる仕掛けも導入した。この日本庭園はアメリカの日本庭園専門誌「スキヤ リビング マガジン」が主催するランキングで2003年以来連続第1位の評価を獲得してきた。足立美術館専属の庭師たちが庭園を守ってきた。