マイクロプラスチックは生活空間にどれくらいあるのか。オーストラリアABCが研究者の監修の下、シドニーのある家庭を調査した。プラスチック製品は75年で200倍に増え、世界的に減少する兆しはない。プラスチックに含まれる化学物質は1万6000以上あるが、その中で安全性が検査されているのはごくわずか。ロイヤルメルボルン工科大学のスコット・ウィルソン博士によると、ある家庭で採取された90%がプラスチックの繊維だった。吸い込むと肺に引っかかり、大きなものは咳で排出されるが、微細なものは血管に入り血流に乗って体中を回る。掃除機の中のゴミには重量があって床に落ちたプラスチックがたくさんあったが、床にいる子どもや赤ちゃんの体内に入る可能性があるという。有害性の検査が行われていない化学物質もあるが、国際条約で使用が規制されているものもある。脳まで到達できるくらい小さなマイクロプラスチックもある。ただ、動物実験が頼りで不明な点が多い。魚や無脊椎動物がいる水槽にマイクロプラスチックを入れると成長に変化が生じたり、濃度によっては死んでしまった研究がある。マイクロプラスチック入りの水をマウスに与えたら、初期の認知症のような行動を示したという研究結果もある。
