宮沢真太朗さんの案内。宮沢さんはスウェーデン王立工科大学大学院でバイオテクノロジーを専攻する修士課程の学生。ストックホルム地下鉄は全長約110キロの3路線、駅数は約100駅。約100のほとんどの駅で装飾が施されている。クングストレードゴーデン駅はカラフルな床、白黒の市松模様が特徴。駅名は王立公園を意味する。1825年の火事で焼失してしまったマカロス宮殿からインスピレーションを得た。壁にはマカロス宮殿から出土した沢山の像が飾られている。ロードヒューセット駅は赤茶色の岩盤が特徴的。かつてこの駅の真上にはハントバーカルガタンと呼ばれる職人通りがあった。立派な石造りのオブジェは煙突の土台がモチーフになっている。バケツのようなものが大量に埋め込まれた壁、天井には作業靴のようなものが取り付けられている。その昔、ここで働いていた職人のなごりを感じさせている。スタディオン駅には1912年ストックホルムオリンピック開催地に使われたスタジアムがある。オリンピックシンボルをイメージした虹や記念ポスターの壁画を展示。他にも古代遺跡のような壁画、オシャレなオブジェ、天井からは巨大なリンゴのオブジェが飾られるなど、様々なアートを楽しめる。
地下鉄がアートギャラリーになった理由として、「芸術を日常的に鑑賞し、楽しめるようにすべき」と1957年ごろから約150人のアーティストが制作。宮沢さんは「駅に降りるごとに違うアート作品があり、退屈な地下鉄移動を楽しむことができる。スウェーデンは物価が高く、美術館に行くだけでも数千円かかってしまう。地下鉄のアート作品は地下鉄の料金だけでみることができる」とコメント。宮沢さんのお気に入りの駅は、まるでレトロゲームのような世界観が楽しめるトーリッズプラン駅。駅構内を歩くと、自分がゲームのキャラクターになったような気分を味わえる。アート作品はタイルを使いドット柄の雰囲気を出している。