ハートカクテルは前例のないフルカラーでの連載がスタート。当時、ハートカクテルの印刷を担当した石川さんは当時は人物の部分は色がついていたが、それ以外は上にトレーシグペーパーが貼ってあり印刷用のCNYK4色の色%の指示があったという。わたせさんは愛用の色見本からイメージした色を選んで数値に置き換えていた。当時のカラー漫画は漫画家の手描きだったが色ムラは避けられない。そこで均一な色彩で表現されたどこか異世界のような陰影を生み出すために印刷所への指示が最善だった。その独特な世界はすぐに熱狂的なファンをよんで単行本はベストセラーに。ドラマ化もされハートカクテルは80年代を象徴するカルチャーに。そんなブームを面白がってみていたのは漫画家の江口寿史。ストップ!!ひばりくん!の大ヒットで、人気ギャグ漫画家となっていたがハートカクテルをパロディにしたわたせの国のねじ式を発表した。漫画界のレジェンドのつげ義春のキャラクターがハートカクテルの世界に迷い込みきざなセリフに戸惑うというもの。読むほどに感じたのはわたせ作品の奥深さ。