今月20日に就任する米国・トランプ次期大統領は、移民問題を巡っては「史上最大の強制送還を実行しよう」と明言している。移民が多く住む町からは「すべてが崩壊した」という悲痛な声が上がっている。米国・オハイオ州スプリングフィールドは、「史上最大の強制送還」のターゲットとされる町。住人の4人に1人がハイチからの移民で、その多くが周辺の工場で働いている。すべての始まりは大統領選の大統領候補者討論会で飛び出した「スプリングフィールドでは、移民がイヌやネコを食べている。住民のペットを食べている」との発言。ハイチに犬や猫を食べる文化はなく、発言を裏付ける事実も確認されなかった。しかし発言をきっかけにスプリングフィールドは全米の注目を集め、トランプ次期大統領の不法移民対策の象徴となった。選挙前、町のハイチ料理レストランオーナー・ジャーメインさんは「もう倒産寸前だ」と語った。嫌がらせの電話が殺到し、売り上げも激減。ハイチ移民に憎悪の目が向けられた。ただ米国・スプリングフィールドのハイチ人は不法移民ではない。労働力不足を補うために資格を満たしたハイチ人の労働者を町が積極的に誘致。それでもトランプ次期大統領は「私に言わせれば不法移民」などと主張し、強制送還の対象にする考え。ハイチ移民を雇用してきた工場経営者も戸惑いを隠せない。工場を経営・マクレガー社長は「法律に従うことしかできない。具体的なことが示されるまでは現状を維持する」と語った。トランプ次期大統領の大統領就任を前に再びハイチレストランを訪ねた。ハイチ料理レストランオーナー・ジャーメインさんは「いまや仲間も街を去り、すべてが崩壊した」と語った。大統領選でトランプ次期大統領が圧勝したことに多くのハイチ人が絶望し町を離れていった。また2週間前にも白人の男2人がレストランを訪れ、警察沙汰を起こすなど、嫌がらせも続いているという。「米国が移民の国だということを思い出してほしい」。現場からは悲痛な声が上がっている。