ボックスの党首アバスカル氏。ジーンズとあごひげがトレードマーク。この日乗り込んだのは、東部バレンシア。5月の選挙のあと、国民党と連立を組んで州の政権を担う党の重要な選挙区。不法移民の即時追放やパリ協定からの脱退など強硬な公約を掲げるボックス。今回訴えるのはサンチェス主義の終焉。サンチェス政権はジェンダーの平等と社会の多様性を推し進めてきた。男女の社会進出の平等に数値目標を定めたり、未成年に性自認の自己申告を認めたりと矢継ぎ早に法律の整備を進めてきた。とくに力を入れてきたのは男性による女性への暴力。ジェンダー暴力の根絶。SNSも使って様々なキャンペーンを展開し、あらゆる形の男性優位を追放しようと呼びかけてきた。ボックスは、そのサンチェス路線を転換すると主張。ジェンダー政策の司令塔となってきた平等省を解体すると明言。平等省の解体は公約実現の省庁だとボックスは話す。女性への暴力は許されないとしながらも、ジェンダーに関わる法律を見直すべきなどとしている。2人の息子を育てたアナ・マニエスさん63歳。病院の雑用係としてコツコツと働いてきた。今のジェンダー政策には強い違和感があり初めてボックスに投票することにした。ボーイフレンドとももっぱら政治の話になるのだという。カトリック教徒の2人。サンチェス政権のやり方には悪平等があると語る。こうした、ボックスの勢いに危機感を抱く人は少なくない。この日、バレンシアの人権団体や環境団体の代表たちが記者会見。デモや集会を開き、ボックスの台頭を阻止しようと呼びかけた。150に上る市民団体が賛同を表明した。集会に参加したピラールさん31歳、夫からひどい暴力を受けて4年前から平等省のプログラムで保護されてきたという。平等省がなくなれば自分たちのような女性たちが支援を受けられなくなると心配している。4年前、ピラールさんがまっさきに駆け込んだ支援団体。年間約300人の女性を保護してきた。平等省は警察や病院、民間カウンセラーなどをつなぐ要で民間団体に寄付金を振り分けるなど財政支援を行ってきた。その平等省の解体はこれまで作り上げてきたセーフティネットの崩壊につながると懸念している。
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