日本のフェンシング界の目覚ましい活躍にはフランス人コーチの存在があった。日本チームには3人のフランス人コーチがいる。これまでは合宿をするにあたり、練習場を探すのも大変だったという。しかし、コーチにはヨーロッパへのコネクションがあり、スムーズにフランス合宿を行うことができ、強力な海外勢とも練習でき、世界での経験をより多く積むことができたという。また、フェンシングは精神状態がパフォーマンスに影響する競技でもあり、2人のコーチがメンタル面を鍛え直したという。日本のメンタル面を変えたコーチの1人が2017年から女子フルーレのコーチに就任したボアダンコーチ。就任当初、選手に対し「君たちはパンダチームだ。外国チームからカワイイ存在だとなめられている。凶暴な虎になれ!」と話したという。また、防御型だった選手を攻撃型のスタイルに変更し、主審が止めるまで剣を突き続けることを徹底したという。もう1人がルペシューコーチ。2021年に男子フルーレのコーチに就任。ルペシュー氏は東京五輪でフランス代表として金メダルを獲得している人物で直後に日本のコーチに就任。「自分の方が相手より強いと自信を持つことが不可欠。それがより良いパフォーマンスにつながり、その自信が次の好結果を生む」として勝者のメンタリティーを選手たちに植え付けた。また、金銭面の支援も欠かせない。スポーツ庁が去年5月に発表したパリ五輪の重点支援競技で、フェンシングは柔道やレスリングなどと共にSランクに指定。これにより補助金も増額され、年間3億円超の補助金を得て、強化費用にまわすことができていたという。