セキュリティークリアランス制度の創設に向けた法律が参議院本会議で可決成立した。外部に漏えいすると、日本の安全保障に支障を来すおそれがある経済面の情報を国が重要経済安保情報に指定する。その情報にアクセスできる人について、国が信頼性を確認してお墨付きを与えた人に限定する制度。米中の対立激化などを背景に、安全保障を強化しようと検討が進められてきた。一方、国は、本人の同意を前提に、7つの項目で身辺調査を行うとしていて、個人のプライバシーに踏み込みうるなどと懸念する声もある。制度の創設に向けた法律を巡っては、衆議院で自民党、公明党両党と立憲民主党、日本維新の会、国民民主党が協議した結果、重要経済安保情報の指定や解除の情報のほか、国が信頼性を確認する際の調査の運用状況を、毎年、国会に報告することなどを盛り込んだ修正が行われている。法律では、重要経済安保情報の具体的な内容などを運用基準で定めることになっていて、政府は近く、有識者会議を設けて、運用基準の策定を進める方針。高市経済安保相は「日本の情報保全体制を先進諸国並みの新しい制度を作って強化する。企業のビジネスチャンスの拡大にもつながるものと期待している」とコメント。