セブン&アイホールディングスがイトーヨーカ堂などのスーパーストア事業の売却と、その上場をめぐる計画について前倒しの実施を検討していることが分かった。背景には業績の減速とカナダの競合企業が進める買収提案への対抗があるとみられる。今年4月の決算会見の席では子会社のイトーヨーカ堂を中心とするスーパーマーケット事業を2026年2月期までに黒字化し、2027年度以降に上場を目指す方針を発表。それからおよそ半年、ヨーカ堂は店舗閉鎖などの合理化を進め事業の黒字化に向けてスタートしたばかり。しかし昨日、セブン&アイの本社では井阪社長を含む一部の関係者はイトーヨーカ堂の事業再生が順調に進んでいるとして上場を前倒しする案を協議したという。関係者によれば現在のヨーカ堂のまま上場させるのは難しいため、協業できるパートナー企業を見つけ、セブンが協業パートナー企業に株式を先行して売却し一定の株式を持ち合う形で上場させる案が検討されたという。収益のおよそ6割を米国に依存するセブン&アイ。ただ米国では物価高による消費の減速がコンビニ事業に予想以上に響いているとみられている。米国の収益悪化は全体の業績を大きく押し下げる要因となりそうで、そうなれば株価への影響も避けられない見通し。セブン&アイホールディングス・井阪社長は来週10日の決算会見でヨーカ堂の上場前倒し案など今後の経営戦略を語るとみられている。来週10日の決算を受けてカナダのクシュタールは新たな買収価格をセブン&アイ側に提示する可能性もある。