ゲルの専門家・東京大学の酒井崇匡教授は2008年に画期的なゲル素材を開発。硬さや触感を作り分けることができるテトラゲル。伸びるゲルは手術した時の止血材として活用できる可能性がある。テトラゲルはポリエチレングリコールと水を混ぜて作られる。一般的なゲルは不均一な網目構造をしている。一方、テトラゲルは均一な網目構造。テトラゲルは2種類のポリエチレングリコールが交互に組み合わさるように設計されている。酒井崇匡教授は均一な網目構造のゲルを世界で初めて開発した。細長く加工されたゲルの糸、厚さはわずか0.2mm。高い強度と伸縮性を持つゲルの糸は人工靭帯として使おうとしている。怪我によって靭帯や腱が切れてしまった場合、人工靭帯や自分の健康な腱を移植する手術が行われる。そこでこのゲルの糸を束にして人工靭帯として使うための研究が進んでいる。既存の人工靭帯は基本的にプラスチックで作られており、数年経つと切れてしまう。しかし、ゲルの糸は劣化が起きないという。ゲルの糸は靭帯の3倍ほどの強度があり、100万回の歩行を模した試験にクリア。実用化されれば、移植後の経年劣化のリスクを減らし、移植で他の腱を失うこともないため、患者の負担を大きく減らす可能性がある。
