134年前に串本町の沖合でトルコの軍艦・エルトゥールル号が遭難した。海底には多くの異物が残され、これまでに調査団が大きな調理用の鍋やライフル銃の一部など8000点以上を回収した。奈良大学では今年1月から保存が難しいとされる船の木製の部品30点余りの調査と保存処理を進めている。そのまま乾燥させると小さくなってしまうため、トレハロースを溶かした液に木材を漬け込んでいた。もろくなった木材の細胞の中に浸透し固まって強くなるため、木材は縮まず色や形も発見当時のまま変わらない。滑車は木材や金属など様々な素材が使われ複雑な構造をしているためトレハロースが有効かどうかは未知数だったが、長崎県の沖合に沈んだ船の一部に刺さっていたくぎにトレハロースを使った保存処理が行われ金属と木材の組み合わせにも有効なことがわかった。今年1月に奈良大学はエルトゥールル号の保存処理に全面的に協力することを調査団と約束した。