経済安全保障を考える上で重要な戦略的自律性・戦略的不可欠性のキーワードがある。戦略的自律性は他国に依存しない基盤をもつこと、戦略的不可欠性は自国の技術や産業を他国にとって不可欠なものとすることで自国の安全を図ること。中国において明確に経済安全保障を明記する文言は示されていないが、戦略的自律性・戦略的不可欠性が需要である考え方は共通している考えられ、徐々に自国経済をための施策を総称する言葉になってきた。中国製造2025では次世代情報技術や新エネルギー車などの製造業の高度化を目指すことを謳ったがこれは戦略的自律性を高める施策として理解できる。中国の経済安全保障の特徴は2020年代の法的整備に現れている。輸出管理にくわえて制裁についても法整備が進んだ。中国政府は安全保障において、どの案件にどう対応するか使い分けている。中国からのメッセージは経済安全保障において譲歩せず自国の法律に基づいて報復する姿勢。2025年にかけてトランプ政権が打ち出す措置に対しても中国政府は国内法に準拠する形で対抗措置を検討するだろう。トランプ政権が関税をかけた場合、調査や対抗関税を設置することもあり得るし、反外国制裁法による制裁をかけることも考えられる。アプローチを取る理由は中国による有利な条件の元でトランプ政権と折り合うタイミングを探ることにある。トランプ大統領は就任式で大統領令の措置で米国の完全な修復と良識の革命を始めると発言し、これまでの常識を覆すことを明言した。一方、中国は法律に準拠することでトランプ政権と差別化を図り国際社会の共感を得ることを念頭に置いている。