きょうの特集はインドから。心の性と体の性が一致しない人たちに対する差別や偏見をなくそうという動きについて。インドで出産・結婚のお祝いの席で踊り・歌を披露することを生業としてきた「ヒジュラ」と言われる人たちは男性として生まれながら心は女性というトランスジェンダー。古くから「祝福を与える特別な力がある」と信じられてきたが、差別・偏見も受けており最近では伝統的な祝福の風習も徐々に廃れる中、貧しい暮らしを余儀なくされる人達も少なくない。そうした中、アートを通じて社会の認識を変えようと自ら立ち上がった人達がいる。
インド南部の都市・ベンガルール。差別や偏見に苦しむトランスジェンダーに対する社会の認識を変えようと始まったプロジェクト。30人あまりのヒジュラの人たちがアーティストとして参加し、”性の多様性”を象徴するカラフルな色使いで環境・人権などの社会課題をテーマに作品を作る。これまで声を上げてこなかっったヒジュラの人たちのこの活動は多く持っメディアに取り上げられた。各地から依頼が相次ぎ、これまで450以上の作品を制作している。活動の中心メンバーであるシャンティ・ムニスワミーさん(42)は物心がついた頃から周りの女の子たちが着ている服を自分も着るのが好きだったという。21歳のときに両親にトランスジェンダーであることを打ち明けたが、受け入れてもらえなかった。自分の気持に反して女性との縁談を持ちかけられたムニスワミーさんは逃げるようにヒジュラのコミュニティに駆け込んだ。しかしヒジュラとして歌や踊りを披露してエられる収入はごくわずかだった。他の仕事を探そうとしても雇用してもらえず経済的に極めて厳しい状況に置かれ、物乞いなどを余儀なくされた。いまは作品の報酬で生活できているというムニスワミーさん。アーティストとしてられるようになったことで自信を持ち、自分のアトリエを持つという新たな夢に向かって進んでいる。
ムニスワミーさんたちを支援しているのが地元の女性アーティスト、プルニマ・スクマールさん(36)。8年前にプロジェクトを立ち上げた。きっかけはヒジュラの人たちを題材にしたドキュメンタリーの制作に携わったことだった。「誰もが生きやすい社会にしたい」という思いの一歩として、まずはヒジュラの人たちを知ってもらえることが大切だと考えるスクマールさん。地元の人達にも積極的に活動に参加するよう呼びかけている。この日、制作現場を手伝いに来た地元の大学に通う男子学生は、これまでヒジュラの人とほとんど接したことがなかったという。ムニスワミーさんと作業を行うことで会話も弾んだ。男子学生は「子供の頃から周囲の大人に『ヒジュラに近づかないように』と言われました。まずはこちらから話をしてみることが大事だと思いました」と話す。スクマールさんはこれからもヒジュラの人などトランスジェンダーに対する社会の認識をアートで変えていきたいという。インドでは自分達の人権を認めるよう求めた当事者たちの訴えを受け、最高裁が2014年にヒジュラを含むトランスジェンダーを「第三の性」と法的に認め、自らのジェンダーを選ぶことができる権利を肯定した。ただ、トランスジェンダーの人たちの就労を支援する現地NGOは、「法律を制定するだけでは不十分で、社会の意識が追いつく必要がある」と指摘している。
インド南部の都市・ベンガルール。差別や偏見に苦しむトランスジェンダーに対する社会の認識を変えようと始まったプロジェクト。30人あまりのヒジュラの人たちがアーティストとして参加し、”性の多様性”を象徴するカラフルな色使いで環境・人権などの社会課題をテーマに作品を作る。これまで声を上げてこなかっったヒジュラの人たちのこの活動は多く持っメディアに取り上げられた。各地から依頼が相次ぎ、これまで450以上の作品を制作している。活動の中心メンバーであるシャンティ・ムニスワミーさん(42)は物心がついた頃から周りの女の子たちが着ている服を自分も着るのが好きだったという。21歳のときに両親にトランスジェンダーであることを打ち明けたが、受け入れてもらえなかった。自分の気持に反して女性との縁談を持ちかけられたムニスワミーさんは逃げるようにヒジュラのコミュニティに駆け込んだ。しかしヒジュラとして歌や踊りを披露してエられる収入はごくわずかだった。他の仕事を探そうとしても雇用してもらえず経済的に極めて厳しい状況に置かれ、物乞いなどを余儀なくされた。いまは作品の報酬で生活できているというムニスワミーさん。アーティストとしてられるようになったことで自信を持ち、自分のアトリエを持つという新たな夢に向かって進んでいる。
ムニスワミーさんたちを支援しているのが地元の女性アーティスト、プルニマ・スクマールさん(36)。8年前にプロジェクトを立ち上げた。きっかけはヒジュラの人たちを題材にしたドキュメンタリーの制作に携わったことだった。「誰もが生きやすい社会にしたい」という思いの一歩として、まずはヒジュラの人たちを知ってもらえることが大切だと考えるスクマールさん。地元の人達にも積極的に活動に参加するよう呼びかけている。この日、制作現場を手伝いに来た地元の大学に通う男子学生は、これまでヒジュラの人とほとんど接したことがなかったという。ムニスワミーさんと作業を行うことで会話も弾んだ。男子学生は「子供の頃から周囲の大人に『ヒジュラに近づかないように』と言われました。まずはこちらから話をしてみることが大事だと思いました」と話す。スクマールさんはこれからもヒジュラの人などトランスジェンダーに対する社会の認識をアートで変えていきたいという。インドでは自分達の人権を認めるよう求めた当事者たちの訴えを受け、最高裁が2014年にヒジュラを含むトランスジェンダーを「第三の性」と法的に認め、自らのジェンダーを選ぶことができる権利を肯定した。ただ、トランスジェンダーの人たちの就労を支援する現地NGOは、「法律を制定するだけでは不十分で、社会の意識が追いつく必要がある」と指摘している。