ワシントン支局の小田島記者に聞く。注目されていたパウエル議長の発言だが、どう聞いたか。これまで慎重な発言が多かったパウエル議長だが、9月に利下げする可能性のサインをかなり明確な形で市場に送ったと思う。FRBのインフレとの闘いは2022年3月から始まり、落ち着くかと思いきやぶり返すことを繰り返してきた。ひとたびインフレを招くと収束させるのがこれほどまでに難しいのかというのがこの2年取材してきた実感。ただ、ようやく出口が見えてきたという状況で大きな節目が近づきつつある。一方、市場では11月に大統領選挙を控える中、9月の利下げの判断は難しいのではないかとの見方もあったが、パウエル議長は会見で「政治に関わることは一切望まない」とあくまで経済情勢を見て、冷静に政策判断すると強調した。外国為替市場では円高が進んだが、今後の値動きはどうなりそうだろうか。円相場はきのうの日銀の利上げと植田総裁の発言を受けて、円高ドル安が加速した。そしてFRBのパウエル議長の利下げ可能性の発言でさらに円高が進んだ。日米の金利差の縮小が意識されたため。ただ、パウエル議長は9月のあとの利下げの方針については一切言及しなかった。拙速な利下げはインフレ再燃のリスクがあり、それだけは避けたいというパウエル議長の強い思いがあると思う。円相場の動向だが、FRBが今後年内に何回利下げするのか、その政策判断とともに今後日銀がさらに利上げするのかどうかに大きく左右されそう。
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