アジア各国ではトランプ次期政権への不安や警戒感広がっている。島崎浩氏の解説。特に各国が見極めようとしているのが米中の対立が安全保障や経済にどう影響するのか。このうち南シナ海では去年フィリピンと中国双方の船の衝突が繰り返されるなど緊迫の度を増してバイデン政権はフィリピンに巨額の軍事支援を確約した。専門家はアメリカファーストのトランプ氏が大規模な財政支援に疑問を感じたとしても中国と対じするうえで重要な同盟国フィリピンへの協力は継続されるとみている。一方、経済への影響については2つの見方がある。まず米国が中国製品に高い関税を課せば中国企業が生産拠点を移すなど東南アジアなどへの投資が増えていき、アジア各国が漁夫の利を得るのではないか。他方で、米国が貿易赤字を抱える国、例えば、ベトナムやタイマレーシアなどもトランプ関税の標的になるのではないかという懸念。専門家は東南アジア諸国はそれぞれの産業が制裁を回避するよう注意が必要だと指摘している。一方中国との関係強化の流れは続いている。去年タイなどは中国など新興国で作るBRICSへの加盟を申請し、インドネシアの加盟が認められた。米中の対立激化を見据え、外交や貿易政策でのリスクヘッジとして新興国を含む全方位の外交という流れが強まるものとみられている。