2024年度の最低賃金の引き上げについての議論が大詰め(あすの朝10時から再開)。前回協議で労働組合側が過去最高だった昨年度の引き上げ額、43円を大きく超える引き上げを要求。経営側の考える水準とは大きくかけ離れていて落としどころを見つけるのが難しい。今の最低賃金は、全国平均で時給1004円。これを1050円台にまで引き上げられないかを軸に議論が進んでいる模様。実現すれば、時給も引き上げ額もともに過去最高。政府も目標とする賃上げと物価上昇の好循環を生んでいる事例も。高田馬場にあるラーメン店では2021年当時の東京都の最低賃金に近い時給1050円でアルバイトを募集したところ応募ゼロ。1300円にすると、すぐ人材が集まるようになった。賃上げと同時に行ったのが値上げ。2年前、ラーメン1杯が690円だったが、今では1100円に。さらに低価格でないと営業しづらいランチをやめるなど効率化。大幅値上げにもかかわらず客足は落ちず、売り上げは伸びた。海外で新たに注目されているのが生活賃金。労働者とその家族が十分な生活水準を維持するために必要な賃金のことで、英語でリビングウェイジと呼ばれている。英国では地域ごとに生活賃金を算出、バーバリーやラッシュなど多くの有名企業が実際に生活賃金を目安に賃金を支払っている。46万人の労働者に適用されていて、賃上げの広がりに一役買っている。日本では労働組合の中央組織、連合が生活賃金を独自に試算し、企業に対し活用を求めている。日本でも物価高が根付き始めたことでこうした考えの重要性が増している。