1年前、上流からの水が一気に押し寄せ車や建物などを押し流していった場所は、今も補強工事などが続いている。市長は復興の遅れの理由として、人手などのリソースが足りないことのほか、インフラが強靭になるよう再構築しているため時間がかかることなどを上げていた。インフラ整備だけでなく、自分たちの生活、地域をどう立て直していくのか課題は山積みになっているという。洪水発生時の警報通知が遅れた問題について、パイポルタでは渓谷の状況をリアルタイムで監視するカメラを設置した他、水位を測定する装置を追加で設置し、雨などによって上流などで水位が上昇した際などに、周辺自治体が連携して素早く対応できるよう体制を構築したという。国なども、この地域における大規模な治水プロジェクトを検討。一方で、市民の防災に対する意識も確実に強まっているという。9月下旬、バレンシア州で大規模な豪雨があったが、多くの人がSNSなどで家族や友人と連絡を取り合い、安全な場所にいるのかなど確認しあったという。1年前の洪水では、スペイン各地から集まったボランティアによる復旧に向けた支援などが大きな話題になった。スペインでは大きな自然災害がこれまで頻繁に起こってきたわけではない。そうしたなかで今回の洪水で災害にどのように対応するのか、行政側も市民も教訓を得ていると感じたという。
