パリ五輪の開会式では女装したダンサーらが並んだ様子がキリストと弟子を描いたレオナルドダビンチの最後の晩餐の構図に似ていたことから、「キリスト教をやゆしている」などとして批判が上がっている。ローマ教皇庁は3日、「開会式のいくつかの場面に対し心を痛めるとともに、多くのキリスト教徒やほかの宗教の信者に不快な思いをさせたことを悲しむ声に同調せざるをえない」として、演出内容に不快感を示す異例の声明をフランス語で発表した。そのうえで「全世界が共通の価値観のもとに集う名誉あるイベントで、多くの人の宗教的信念をあざ笑うような表現はあってはならない」と指摘し、「表現の自由は他者への敬意を欠いてはならない」としている。開会式の芸術監督を務めた演出家・トマジョリー氏は、「最後の晩餐」から着想を得たことを否定し、「多様性の受け入れや優しさ寛容さが演出のねらいだった」と説明。開会式の演出を巡ってはジョリー氏が「オンライン上で殺害予告の脅迫を受けた」と訴え、当局が捜査する事態にもなっていて波紋が広がり続けている。