問題の1つだった専門性の軽視、改革の象徴がここ。整形外科の中にある、足に特化した外科センター。吉本憲生センター長は、くるぶしから下の病気やケガを専門にしている。その道のスーパードクターと呼ばれる専門医、評判は海外にまで。インドネシアからはるばるやってきた患者は、進行性扁平足に悩まされていた。かつての経営陣のもとでは吉本先生の待遇は恵まれているとは言えなかった、8年前九州からやってきたが当時の給与は他に務めた医院の半分程度だったという。吉本先生が持つ専門性の価値を認められていなかった。しかし、事件を機に経営陣が変わってからは、経営陣が自らの報酬をカットし医師たちのベースアップにあてた。貢献度に応じて給与などの待遇も改善した。インドネシアから来た女性の手術が始まる、吉本先生が手がける手術はかつて年間180件ほどだったが、現在は300件以上になった。患者や手術が増えたことで病院の収益も上がっている。手術は3時間ほどで終了、足の骨は綺麗なアーチ型になった。手がける症例が増えたことで、臨床研究も進むようになった。学会にも参加して最先端の治療法を探求している。全ては、患者のため。しかし、医師の数はまだ足りていない。病院全体で増えたのは4人、もっとも深刻なのが内科で少なくとも3人はすぐに補充が必要な厳しい状況が続いている。