今月23日、ドイツで議会選挙が行われる。注目されている政党「ドイツのための選択肢」は移民や難民に排他的な政策を掲げており、最新の支持率は約20%と4年前の得票率から倍増している。「ドイツのための選択肢」は国境管理を強化し難民として認められなかった人は送り返すと主張している。共同党首・アリスワイデルは「われわれは犯罪者を受け入れたくない。安心して暮らすためには移民の“再移住”が必要」と演説。集会にはアメリカ・イーロンマスクも登場、政党への支持を表明した。一方「ドイツのための選択肢」は一部の政治家がナチスを肯定するような発言をし、地方組織がイスラム教徒への差別をあおっているなどとして情報機関から“極右”と認定され監視対象にもなっている。しかし、難民認定申請中の人物などによる襲撃事件が相次いだこともあり、不満や不安を感じる有権者の受け皿となっている。ドイツ議会ではナチスへの反省から「極右政党に協力しない」を防火壁としてきたが、次の首相ともくされる最大野党が政府に移民政策の厳格化を求める決議案を提出したことで防火壁が破られる事態になっている。「ドイツのための選択肢」の協力を見越してタブーに踏み込んだ形。最大野党の首相候補・フリードリヒメルツは「不法移民を制限し、難民申請が認められなかった人を拘束し送還する。これは国民へのわれわれの責務」と述べた。決議案は「ドイツのための選択肢」が賛成したことで可決された。しかし「右傾化を防ぐ壁を破った」と激しい反発を招いた。16万人が参加するデモも行われ強い危機感が示された。今回の選挙ではメルツ率いる最大野党が第1党となって連立協議を主導するとみられるが、「ドイツのための選択肢」とは組まないとしている。「ドイツのための選択肢」共同党首・ティノクルパラは「多くの人はどの党がドイツの利益、庶民的な労働者の利益を本当に代表しているのか気付いている。わが党は遅かれ早かれ政権の座に就く」と話す。政治評論家・アルブレヒトフォンルッケは「新政権は何よりも安定を実現させなければならない。いまの政権のように不安定になれば4年後の議会選挙では“ドイツのための選択肢”が第1党になってしまう可能性もある」と指摘している。