ヒマラヤ山脈の麓にあるブータンについて。ブータンは国を挙げて環境問題に長年取り組んでいて、温室効果ガスの吸収量が排出量を上回るカーボンネガティブを実現しているとされている。しかし、世界的な気候変動によって、今ブータンでは人々の暮らしに影響が広がっている。そうした状況を世界に知ってもらうため、先月、国がウルトラマラソンを開いた。世界各国の選手たちに、気候変動によって、国内で起きている異変を体感してもらおうというもの。レースに密着。マラソンの舞台はヒマラヤの山岳地帯。米国やドイツなどから16人のトップランナーたちが集まった。平均標高4200メートルのコースは、酸素濃度が平地のおよそ半分。世界一過酷なレースともいわれている。レースを主催したブータンでは、憲法で国土の6割の森林保護を明記。環境保全を重視したうえで、文化や経済の振興に取り組んできた。しかし、近年の気候変動の影響で、国民の生活が脅かされている。1994年には、土石流が100キロ離れた都市部まで到達し、21人が亡くなる災害が発生。原因は、山岳地帯で氷河湖の水量が増えたことによる決壊だった。その後も温暖化で氷河の融解が進み、たびたび決壊が起きている。さらに、当時の4倍の規模の災害が起きるとの警告も。COP29では途上国の温暖化対策への支援を増やせるかが焦点の1つ。