アメリカとインドの関係が急激に悪化している。去年11月の大統領選後にはモディ首相はXでトランプ大統領の再選を祝福し、今年2月の米印首脳会談では互いのリーダーシップを称賛しアメリカ産石油などの輸出拡大で合意するなど良い関係だった。関係悪化の要因は印パの武力衝突だという。インドとパキスタンはカシミール地方の領有権を巡ってたびたび武力衝突を起こし多数の死者も出ている。4月にはインドが実効支配する地域でパキスタンを拠点とする武装集団によるテロが発声、これをきっかけに5月両国が武力衝突し、民間人の死者は両国で66人にのぼった。カシミール問題に関しては1972年にインド・パキスタン間でシムラ協定を結んでおり、二国間問題と規定しておりインドは国連や第三国の関与を認めないとの立場をとる。しかし5月10日にトランプ大統領はSNSで、米国の仲介で印パが停戦合意したと投稿した。パキスタンの現地報道ではパキスタンがアメリカに接触、その後米政府がインドにパキスタンに停戦の意思があると伝えたとしている。パキスタンはアメリカに謝意を伝えトランプ大統領をノーベル平和賞候補に推薦したとしている。これに対しインドはアメリカによる仲介を否定しあくまでも停戦は二国間で行ったと主張しているが、その後もトランプ大統領はアメリカの仲介で停戦したと繰り返している。インドは関税でも高関税を突きつけられている。トランプ大統領はインドがロシア産の石油を輸入しているとしてインドに対し25%の二次関税を上乗せする大統領令に署名した。今月27日から発動される見通しで相互関税と合わせ関税が50%となる見通し。一方パキスタンについては関税率を当初の29%から19%に下げている。伊藤融防衛大学校教授は、アメリカがインドを重要なパートナーとみなさないという憤りがインドの中で相当広がっていると話した。また6月のG7の際にアメリカに立ち寄れないかと言われたモディ首相だが、アメリカはパキスタン軍のトップムニール陸軍元帥をホワイトハウスに招待していたため3ショットを撮られてアメリカに仲介されたように見えるのを警戒して行かなかった。その後電話会談をしたがそこで亀裂が決定的になったという。