南米ボリビアの鉱山セロ・リコ。16世紀から銀の鉱山として名をはせ現在は亜鉛などを産出し世界遺産にも登録されている。これまで人々に莫大な富をもたらした一方で落盤事故や有毒ガスで数え切れない犠牲者を出してきたことから「人喰い山」とも呼ばれている。真っ暗で狭い坑道がある地域の標高は4300m。酸欠で意識が朦朧とする中、鉱山労働者が押すトロッコに注意を払わなければいけない。麓の街のポトシはかつて世界の銀の60%を供給し活気に満ちていた。現在は銀の採掘量が激減しボリビアの中でも「貧しい街」といわれている。3か月前から人喰い山で働く14歳の少年・ネイマールくんは学校に通わず1日7時間週5日間を労働にあてている。日給は約3000円。家族の生活費や弟の教育費を稼ぐため鉱山で働きはじめた。運ぶトロッコの重さは約250キロ。鉱石で満杯になると1トンを超えるという。空気が薄く粉塵が常に舞い上がる劣悪な環境の中、ネイマールくんは毎日働いている。人喰い山で現在働いている子どもの正確な人数は不明。地元警察によると去年1年間で死亡した117人の鉱山労働者のうち5人が未成年だった。ボリビアの義務教育は17歳までだが多くの家庭が貧困状態にあり子どもを通学させる余裕がない。状況は改善しつつあるというが、それでも農村部の子どもの約6割が小学校卒業後何らかの仕事に就いている。ネイマールくんは将来は夜間学校に通い勉強したいと夢を語った。