明治時代から100年を超える、ぶどう栽培の歴史がある岡山市北区津高地区で、農家の4代目としてぶどうを栽培する林慎悟さん。ぶどうの品種改良を行う育種家でもある。林さんが10年かけて開発した「マスカットジパング」という品種は上品な甘さで種がなくマスカットの爽やかな香りが特徴。きめ細かな水分管理が必要で栽培が難しい品種だが、温室でのぶどう栽培の歴史がある岡山ならではのぶどうにしたいと開発した。品種改良はぶどうの開花時期を見極めたうえで非常に細かい作業が必要とされる。ぶどうが、どんどん成長し栽培農家として忙しい時期に品種改良の作業も重なりこの時期は日の出から作業をすることも多い。最近、林さんが気にかけているのが気候変動。ここ数年、その影響が目に見える形で現れてきていると言う。温暖化の影響でぶどうの色づきが悪くなっているという。品種改良に興味を持つ人が全国から林さんのもとに集まり、育種の講習会が行われた。林さんは作業の仕方やぶどうの受粉のタイミングなど培ったノウハウを細かく伝えた。林さんは品種改良を通して農業現場にある課題を解決していきたいと考えている。