フランス国内では1990年代までアルジェリアや南太平洋のフランス領ポリネシアで行っていた核実験による被害への補償の問題が今でも続いており、今月には新たな調査報告書も公表される予定。核の傘を広げる構えも見せる中、かつて行ってきた核実験による被害の補償に向き合うフランスの姿を取材した。フランス中部に住むミシェル・アラキノさんはフランス領ポリネシアが出身。アラキノさんが5歳だった時、自宅から数百キロ離れたムルロワ環礁でフランスによる核実験が始まった。当時のドゴール大統領の下、1960年にフランスは核保有国となった1996年まで当時植民地だったアルジェリア、ポリネシアで述べ210回の核実験を行った。アラキノさんは当時のポリネシアでは自給自足で生活する人が多かった中、核実験は雇用の創出など経済的なメリットをもたらしたという。アラキノさんも海軍のダイバーとして核実験に従事し、現場付近で生物サンプルの回収などにあたった。その後ポリネシアでは原因不明のがんの訴えなどが相次ぎ、2001年に被害者団体が設立された。アラキノさん自身も20代から消化器官や骨などにがんを患った。さらに5人の子供も小さい頃から耳が聞こえなかったり病気がちで核実験の影響ではないかと疑問を抱くようになったことから被害者としての声を上げることにしたという。
核実験の現場について専門家は政府が核実験の危険性を矮小化しようとしていたと指摘。住民を不安にさせない為にも当初避難所を作らなかった場所もあったという。核実験の実態は国防の機密だとして開示せず、フランスは被爆の実態を認めてこなかった。しかし、補償を求める声の高まりを受けて方針を転換した。2010年にはがんや白血病など特定の疾病にかかったことを条件に補償を受けられる包括的な法律が施行された。7万人に被爆の可能性があるという推計もある中、これまでに補償が認められたのは1000人余り。アラキノさんのがんは被爆当初の資料がないことから被害者としての補償は受けていない。そうした中2021年、マクロン大統領がポリネシアを訪問し、これまで極秘としていた当時の資料を開示することにした他、補償を進めることなどを約束した。フランスの国会では去年、ポリネシアの核実験に関する調査委員会が立ち上がり、アラキノさんも自身の体験を証言する機会を得た。調査委員会は今月中旬に報告書を公表する予定で、補償対象となる疾病を拡大することなどを提言するとみられる。
核実験の現場について専門家は政府が核実験の危険性を矮小化しようとしていたと指摘。住民を不安にさせない為にも当初避難所を作らなかった場所もあったという。核実験の実態は国防の機密だとして開示せず、フランスは被爆の実態を認めてこなかった。しかし、補償を求める声の高まりを受けて方針を転換した。2010年にはがんや白血病など特定の疾病にかかったことを条件に補償を受けられる包括的な法律が施行された。7万人に被爆の可能性があるという推計もある中、これまでに補償が認められたのは1000人余り。アラキノさんのがんは被爆当初の資料がないことから被害者としての補償は受けていない。そうした中2021年、マクロン大統領がポリネシアを訪問し、これまで極秘としていた当時の資料を開示することにした他、補償を進めることなどを約束した。フランスの国会では去年、ポリネシアの核実験に関する調査委員会が立ち上がり、アラキノさんも自身の体験を証言する機会を得た。調査委員会は今月中旬に報告書を公表する予定で、補償対象となる疾病を拡大することなどを提言するとみられる。