映画監督のイーランルーさん。当局の規制が強まる中でも、ヘジャブを付けずに取材に応じた。1年前からどんな集まりでも被らないことにしているという。罰則は特に怖くもなく、私たちが選択した市民としての抵抗を実行しているだけだという。イーランルーさんは男性中心の社会の中で、12年に渡って女性の声を伝えてきた。昨年秋に公開したのは、イランで宗教上の理由から長年女性に禁じられてきたレスリングについてのドキュメンタリー映画。男性から反発の声が上がる中でも、諦めない女性選手たちの姿を描いた。イーランルーさんは、こうした女性たちの声や姿を届けることで、男女関係なく平等な社会を作ることを目指してきた。昨年イランで起きた抗議デモ。これを機にイーランルーさんはヘジャブをかぶるのをやめ、抗議の声を上げ続けてきた。人々の訴えは、ヘジャブの着用義務に留まらず、自分自身を取り戻すための戦いだったという。ヘジャブを被らなかったり政府を批判したことで、2度に渡り拘束されたという。その思いを支えているのは、今月ノーベル平和賞を受賞したナルゲス・モハンマディさんの存在。4カ月収容された刑務所で、同じ時間を過ごしたという。今も獄中にいるナルゲスさんは、心臓病を患い病院に行くためにはヘジャブが必要だが、着用を拒んでいるという。危険の中で今も声を上げ続けられるのは、一度恐怖を乗り越えてしまえば何も怖くなく、イランの数百人の女性がそうしているように、小さな1人として恐怖を乗り越えているだけだという。男性の中にも、女性に理解を示す人も目立ってきているという。