シリア国内の情報を集めているシリア人権監視団によると、先月27日以降一部の反政府勢力がアサド政権が支配してきた第2の都市・北部アレッポに向けて大規模な攻撃を行い、政府機関を含む市内の大部分を制圧したという。一方、シリア軍も「反撃に備えるため部隊の再配置を行った」などと撤退を認めたうえで、「奪還に向けて準備を進めている」としている。これまでに、アレッポなどで民間人を含む310人以上が死亡したという。シリアでは2011年、「アラブの春」と呼ばれる民主化運動が波及する形で反政府デモが各地に広がり、これをアサド政権が弾圧したことで激しい内戦に発展した。アレッポは反政府勢力の最大の拠点だったが、2016年にロシアの支援を受けたアサド政権側が完全に制圧していた。今回の大規模攻撃を受けて、ロシアは反政府勢力の拠点を空爆したほか、アサド政権側に追加の軍事支援を約束したと報じられている。米国のCNNテレビは「反政府勢力は奇襲攻撃を始め、長年ほとんどこう着していた紛争を再燃させた」と伝えていて、戦闘の拡大や避難民の増加など情勢の悪化が懸念される。