トランプ大統領によるグリーンランド特使任命に反発が広がっている。グリーンランドはアメリカ大陸とヨーロッパの間に位置するデンマークの自治領。人口は約5万6000人で、9割は先住民イヌイット。グリーンランドについてトランプ大統領は1期目にも買収に強い関心を示し、2期目も就任前からアメリカが所有すべきとの考えを繰り返している。今年1月には長男のトランプ・ジュニア氏が、3月にはバンス副大統領がグリーンランドを訪問。トランプ大統領がグリーンランドを重視する背景にあるのが中国・ロシアの存在。グリーンランドにはレアアースなど豊富な地下資源がある。温暖化の影響で氷の溶解が進むにつれて採掘や輸送がしやすくなるとされ、中国が資源開発を進めている。また、北極海航路の存在がある。ロシアはこの整備を得策に掲げて進めている他、中国も氷上のシルクロードと呼び開発に力を入れている。トランプ政権の国家安全保障戦略で謳われているのが西半球重視とトランプ系のモンロー主義。モンロー主義の相互不干渉原則に基づき、グリーンランド含む西半球をアメリカの勢力圏とみなし、中国・ロシアに干渉させない姿勢を示していると捉えられ、特使の任命もその関連の動きだとみられている。グリーンランドでは近年デンマークからの独立の機運が高まっているが、今年1月の世論調査では住民の85%がアメリカによるグリーンランド所有に反対している。また、デンマーク情報機関は年次報告書を発表したが、欧米メディアによると、デンマークはこの中でアメリカを安全保障上の潜在的な脅威だと位置付けた。デンマークとアメリカはNATO加盟国で、同盟国を脅威と位置付けることは極めて異例。デンマークとアメリカの緊張の高まりが中国・ロシアにこの地域や同盟関係に付け入る隙を与えるリスクが懸念されている。
