依頼者は東京・目黒区の中島章吾さん。18歳で宮崎から上京し、プロボクサーなど職を転々として30歳で実演販売士に。「ムッシュ中島」の名前で通販番組に出演していた。1年半前からは動画配信に挑戦中。依頼品は「小林一茶の書」。小林一茶は江戸時代後期を代表する俳人で、哀愁を帯びながらも共感を呼ぶのが特徴。1763年に北信濃・柏原の農家に生まれ、3歳で母を亡くし継母に育てられる。15歳で江戸に奉公に出された。俳諧と出会ったのは20歳の頃で、30歳を前に俳号を一茶に改め漂泊の旅に出た。39歳で父が他界し、家督を継いだ弟の間で起こった遺産相続争いの解決に10年以上の歳月を要した。50歳でようやく故郷・柏原に落ち着いた。54歳で24歳下の妻を娶り、4人の子どもに恵まれた。しかし子どもは何れも夭折し、妻も37歳で他界。その後再婚するも3ヶ月で離婚。中風を患う中、大火で母屋を失い失意の内に土蔵の中で息絶えた。依頼品は足が向く方に一歩一歩進めると、目の前に咲き誇る花々が広がっていくという意味の句。風景の捉え方が心の持ちようと一体となった一茶らしい句となっている。