3時間半後、ようやく水深8178mに到達した。指先ほどの面積に800kgもの水圧がかかっている。30分後、3cmほどの小さなカイコウオオソコエビが数匹やってきた。これは超深海だけで見つかっているヨコエビの仲間。巨大な水圧を物ともせずスイスイと泳いでいた。カメラは3時間毎に1時間撮影するように設定されていて、着底から2時間後にはカイコウオオソコエビが数え切れないほど集まっていた。時間とともにその数は増え、エサの魚は骨だけになってしまった。科学者は生きた魚を探していて、魚が撮影された最深記録は8152mであるため、8178mにいれば世界記録更新となる。変化が訪れたのは海底に到着後18時間が経過し、諦めムードが漂いだした時だった。