ブラックの描いた大きな裸婦はこれまでの古典的な人物画像ではあり得なかった太く短い足と簡素な表情。アフリカやオセアニアなどの彫刻にヒントを得て肉体という形に潜む根源的なものを表現しようとしたという。ピカソのアヴィニョンの娘たちにもアフリカの仮面をモチーフにしたと思われる表現を見ることができる。みたままではなく頭の中で突き詰めた形を表現するのがキュビズムでもある。アメデオ・モディリアーニの女性の頭部は作者の理想の女性が面長の顔と大きなアーモンド型の目で表現される。キュビズムは人間の想像力と解き放ちあらゆる分野の表現を変えていった。意外なことに家電やインテリア製品もキュビズムに大きく影響をうけている。プロダクトデザイナーの深澤さんは自身が手掛けたI携帯のNFOBARはその形が評価されてニューヨーク現代美術館にも所蔵されている。携帯電話の常識を疑い理想の形を落とし込む過程がキュビズム的だったという。