ヴァトナヨークトル国立公園はアイスランド南東部にある。アイスランドの首都レイキャビクには12万人ほどが暮らしている。島の中で開発されているのはごく一部。国土のほとんどは手つかずの大自然。未知なる世界遺産の光景を求めて首都から東へ300キロ。氷河を頂く山が見えてきた。アイスランドは北極圏にも関わらず暖流の影響で比較的暖かい。ヴァトナヨークトル国立公園にある氷河の山を登ってみる。比較的暖かいとはいえ、冬の高地では10m以上の雪が積もる。雪が氷へと変化し、ヴァトナヨークトルは高地がまるごと分厚い氷に覆われている。ヴァトナ氷河と呼ばれている。地熱で氷河が解けてできた湖もある。ヴァトナ氷河の下にはいくつもの火山があり、中でもグリムスヴォトン火山が活発。氷河から突き出したカルデラから火山ガスが吹き出し、火山灰が氷河を覆う。太陽光で高温になった火山灰が氷河を融かし、水蒸気が発生する。氷と火という相反する2つの要素が独特な景観を生み出している。アイスランドでは平均して数年に1度はどこかで噴火が起きている。火山活動が活発な理由はアイスランドのもう一つの世界遺産「シングヴェトリル国立公園」に行くと分かる。シングヴェトリル国立公園には大地が引き裂かれてできた亀裂がある。つまり、アイスランドはプレートの境目にあるということ。火山はその境目に沿って並んでいる。氷河とマグマが出会うことで大洪水が引き起こされる。溢れ出した水は、地形をも変えてしまう。