パリオリンピック。レスリンググレコローマンスタイルで金メダルを獲得した文田健一郎選手。快挙の背景には、ライバルの存在があった。3年前の東京大会で文田選手は得意の投げを警戒され、銀メダルに終わった。その後は投げを封印するなど、スタイルの変更を模索。守りを固めて、堅実にポイントを重ねる戦い方に変えた。再び転機が訪れたのは去年。ライバルとなるキルギスのゾラマンシャルシェンベコフ選手との対戦だった。豪快に投げられて敗れ、目指すべきレスリングに気付いた。5日の準決勝、相手はそのシャルシェンベコフ選手だった。鍛えた守りに加え、改めて磨き上げた投げ技も。文田選手はついに金メダルをつかみとり、3位決定戦で勝ったライバルとともに表彰台に上がった。