ロシアではソ連時代以来、権力者による暗殺と粛清が幾度となく繰り返されてきた。社会主義革命を率いたレーニンは秘密警察によって反対勢力を処刑し、凄惨な弾圧で革命を成功へ導いた。独裁者として君臨したスターリンは政敵をスパイに仕立て次々と粛清。その嵐は一般国民にも及び、密告と相互監視の末に2000万人の命が奪われた。こうした「恐怖による統治」はロシア社会に大きな影響を残し、その統治手法はソ連崩壊後の今に至るまで受け継がれている。「スターリンはいなくなった。けれど、その影は依然として私たちみなの上に覆いかぶさり、いまも私たちに命令を下している……」今回は、恐怖による統治が続くロシアで繰り返されてきた暗殺と粛清の物語。