アメリカのトランプ大統領とウクライナのゼレンスキー大統領による首脳会談は激しい言い合いに発展し、予定されていた鉱物資源に関する協定の締結が見送られた。ワシントンからリポート。トランプ大統領がゼレンスキー大統領を「選挙なき独裁者」と批判するなど、悪化していた関係の改善につながるかが注目を集めていたが、首脳同士がカメラの前で口論するという異例の事態となった。口論のきっかけは、ゼレンスキー氏がロシアのプーチン大統領が過去に停戦合意を破ってきたことを指摘し、トランプ政権がロシアに譲歩することへの懸念を示したことだった。トランプ氏とバンス副大統領は「支援について感謝の言葉がない」などと激しく反発。トランプ氏がゼレンスキー氏の肩を押す場面もあった。その後も双方の溝は埋まらず、会談に続いて予定されていた昼食会や鉱物資源に関する協定の署名、共同記者会見は全て中止となった。会談後、トランプ氏は「彼の立場からすると会談は成功しなかったと言えるでしょう、彼はかなりやり過ぎました」、ゼレンスキー氏は「このような口論はどちらにとっても良いものではないと思います。私は寛大な人間ですが、ウクライナのロシアに対する立場は変えることができません」と述べた。ゼレンスキー氏はトランプ氏との関係改善は「可能」だと強調したが、トランプ氏は「彼はすぐに対話に戻りたいと言ってきているが無理だ」と突き放した。トランプ大統領は「和平交渉の主導権を握るのはアメリカなのだ」とまざまざと見せつけた形で、今後、ウクライナの思いが反映されるのか不安が増すばかりの首脳会談となった。