東京から電車で約1時間の千葉県一宮町。サーフィンにうってつけの大きな波が年間を通して打ち寄せることから、東京五輪のサーフィン競技の会場にも選ばれた。駅のそばにある観光施設では、サーフボードと自転車を誰でも借りられる。カフェではサーファーが集まっている。地元・移住者問わず、波乗りを愛する人ばかり。3か月前に愛知県から移住してきた池田祐輔さんは、スポーツトレーナーとして働いている。朝日を観に立ち寄った一宮町の海に一目惚れして、家族で移住することに決めた。しかし、池田さんはサーフィンほぼ未経験。そこで手を差し伸べたのが、地元の桑原裕弥さん、サーフィン歴20年以上のベテラン。池田さんにとって、カフェは交流の場になっている。池田さんに声をかけた森山鉄兵さんは、30年前に千葉の波に憧れて移住した。サーフボード職人だ。森山さんは、サーフィン仲間に声をかけ、3年前から土地を借りて農業を始めた。皆農業は初めて。作っているのはブラックベリーやパッションフルーツなどで、町のカフェやレストランに提供している。美しい自然を守りたいと、有機農法で栽培している。移住して3か月、池田さんは本業の傍ら、新たに自宅で鍼灸サロンを開いた。訪れるのは地元の学生たちや仲間のサーファーたち。池田さんなりの町への恩返しだ。一宮町の転入者の数は、昨年度だけでも1500人を超えている。