お茶でマリネした鯛料理や炊きたてのご飯まで。試飲会で料理の説明をするこちらの男性、実は料理人ではなくある町工場の社長。会場をよく見るとカフェのすぐ隣には工房が。作る、見る、食べるが一体となったオープンファクトリーに。待ちから攻めの経営戦略で生まれ変わった町工場とは。創業100年以上高精度な切削加工を得意とする三重県の町工場、中村製作所。空気以外何でも削りますをモットーに手がけたのは、産業用ロボットから宇宙ロケットの部品まで。しかしリーマンショックなどの影響で倒産寸前に追い込まれた時期があった。独自の技術力はあるもののビジネスにうまく転換できていないと課題を感じていた4代目社長の山添卓也さん。そんな中、削るという技術をもっと身近に感じてほしいと新たに自社ブランドを立ち上げた。それが、誰でも簡単に料亭の味を出せるという魔法の鍋。1000分の1ミリ単位まで対応できる高精度な切削加工で密閉性を高める形状に。蓄熱効果を上げ食材のうまみ成分水分を凝縮。ご飯をおいしく炊ける他に土鍋に材料を入れ数十分間火にかけ、止めるとあとは余熱だけで料理が完成する蓄熱調理が行えるように。形状を整えるだけではなく機能性を高めるという切削加工技術の新たな可能性を追求し去年からオープンファクトリーを展開。職人と来場者をつなぐ場としても活用、職人の高齢化、赤字経営などで廃業する町工場が増える中、中村製作所の売り上げは右肩上がりに。異業種とのコラボレーションを次々と実現させ新しいオリジナル商品の開発に力を入れている。職人の技術の底上げにもつながり部品加工事業にも好循環が。