埼玉県上尾市にある福祉事業所でばい煎されたコーヒー豆が今、人気を集めている。豆をばい煎しているのは視覚障害がある人たち。豆の声を聞き分けるというその技術を取材した。口コミで評判を呼び2、3か月待ちになるほどの人気商品になっている。ばい煎するのは埼玉県上尾市にある福祉事業所。視覚障害者の活躍の場を広げようとマッサージや農作業、コーヒーばい煎などさまざまな就労支援を行ってきた。ばい煎を担当する1人、山仲聡彰さんは18歳のときのバイク事故で脳に障害を負い全盲、右半身にもまひが残った。希望を持てずにいた自分を変えたいと通い始めたのがこの事業所だった。ばい煎作業はばい煎機の温度と豆の音を頼りに火力などを調整が行われる。豆に火が通り弾ける音、ハゼ音。予定していた時間どおりに鳴らすのがポイントだ。5年間で2588回、その経験が生かされている。山仲さんには自分の成長を見せたかった人たちがいる。父、一也さん、母、京子さん。事故から16年、諦めず支え続けてくれた両親へ伝えたかった思いがあった。事業所には視覚障害者や福祉施設の職員たちが各地から見学に来ている。施設長はここの利用者だけでなくほかの視覚障害者たちの職業選択の1つになればうれしいというふうにお話をされていた。
住所: 埼玉県上尾市本町3-1-1