東京国立近代美術館では現在、下村観山展が行われている。今日の作品は重要文化財の下村観山の弱法師。屏風絵で、梅の木の陰で手を合わせる男の姿があり、祈っているのか、満足しているのか。また、真っ赤な太陽が描かれている。弱法師とは室町時代の能の演目で、数奇な運命から家をおわれ、流浪の身となった俊徳丸が梅の花が咲く大阪・四天王寺で彼岸の落日に出会う物語。ねじるように伸びた枝に可憐な梅の花。ところどころ衣服に破れがあり、やや前かがみになった俊徳丸の表情は柔らかで繊細なまつげが特徴。唇の間から恍惚が望む。髪の毛1本1本まで丁寧にしなやかに描かれる。見えない視線の先には、赤い太陽。
