着床前診断とは、体外受精した受精卵を子宮に戻す前に調べるもの。着床前診断は大きく分けて2つの目的があり、1つは不妊治療。わが子を望む夫婦の日々から見えたものとは。4年前、不妊治療を始めた夫婦。最初の体外受精で妊娠することができたが、妊娠後期に胎児に異常が見つかり、生まれて間もなく亡くなった。13時間の短い命だった。再び不妊治療を受けたがうまくいかず、流産も経験。そこで「着床前診断」に望みを懸けた。着床前診断とは、体外受精した受精卵から一部の細胞を採取して調べるもの。受精卵の染色体に異常があると、子宮に戻しても出産に至る確率は非常に低いとされる。出産に至る可能性が高い受精卵を選んで子宮に戻すことで、流産リスクの減少が期待できる。実施には一定の条件が設けられ、保険診療の適用外。女性は、この着床前診断でもなかなか出産に至る可能性の高い受精卵が見つからなかったが、一番成功率が高いと思われる受精卵を戻すことに決めた。もう一度わが子を抱きたい。苦難の日々の先に再び命が宿った。去年9月、帝王切開での出産。あの日生まれた赤ちゃんは生後3か月に。わが子を亡くした悲しみを経験したからこそ、日常の小さな幸せを大切に新たな歩みを進めている。