国が公表した全国の医療機関の経営状況、赤字となった病院の割合は全体の67%に上る。物価や人件費の高騰が進んで経営が悪化する中、懸念されるのが患者への影響。きょう取り上げるのは命に直結する高額医療機器。限られた数しかなく、空きがないために亡くなった患者が、過去5年で4人いたことがNHKの取材で明らかになった。画面右上のQRコードから記事を閲覧可能。群馬県在住の4歳の男の子。拡張型心筋症という重い心臓病と闘っている。心臓の筋力が弱くなり血液が十分に送り出せなくなるこの病気。悪化すると不整脈や心不全を起こして死亡することも。命をつなぐ医療機器が補助人工心臓=VAD。弱った心臓の働きを助け、血液を体内で循環させる役割を果たし、これを付けることができれば数年後に心臓移植を受けられる可能性が。ただ国内のVADの数は限られており、両親は“空きがないときは覚悟してほしい”と医師から告げられていた。一方で病院にとってVADを保有し続けることは難しくなっている。全国に13あるVADを保有する病院の1つの大阪大学医学部附属病院。今年度の赤字は過去最高の9億円。医療機器更新に必要な予算20億円のうち5億円しか用意できずVAD削減の方針を打ち出した。病院長は「言い方は悪いかもしれないが、無い袖は振れない状況になっている」と話した。病院によると、VADは1台約4000万円、10年ごとに買い替え必要。維持費は年間約700万円。全国でも40台ほどしかない。さらにVADを所有する全国13病院へ取材したところ、6病院が買い替えのめどが立っていないと回答。病院の経営環境が悪化する中、子供の命がリスクに晒されていることが見えてきた。先月、男の子はVAD装着の手術を受けられることに。男の子が装着するのは病院が運用する6台のうち最後の1台。男の子は心臓移植が受けられるまでVAD装着のまま入院生活を送ることに。男の子の父親は「機械があれば救えるのなら親としてはなんとしてもつけてほしい。それに漏れてしまった子を本当にタイミングが悪いで済ませていいのか」と話した。日本大学医学部・田倉教授は「国の医療システムとして厳しいところまできているのではないか。小児および急性期に関わるところは公的な機関が地域医療の実情に合わせ、みんなで集めたお金をそこに集中的に投下し、その分野はある程度守っていくような考え方も必要になるのではないか」と指摘した。あすは病院内で雨漏りや機器の故障が相次いでいるという実態について伝える。
