トランプ大統領は先週、コーヒー豆や果物といった輸入に頼る農産物などを相互関税の対象から外す大統領令の署名したが、この中にワインは含まれていない。関税が課されてから数か月で具体的な影響が数字で見えてくるのはこれからになるが、すでにEUの主要産業のも影響が出てきている。自動車産業は関税が15%になったが、フォルクスワーゲンなどドイツの大手自動車メーカー3社は9月決算で最終的な利益は減益になったと発表。EUは関税の影響を受ける域内の主要産業を守るため、企業との戦略的対話を行い支援を検討している。鉄鋼製品についてEUの執行機関はEUからアメリカ向けの輸出に高い関税が課される中で、他国からEUに輸入される鉄鋼製品について一定の輸入枠を超える場合には50%の関税を課す方針を加盟国に提案した。EU域内に安価な鉄鋼流入による需要の低迷を防ぐ狙いもある。専門家からはトランプ大統領から譲歩を引き出すのは難しいという指摘もあった。EUは他の国や地域との自由貿易協定を締結して多角化を進めている。ブラジルやアルゼンチンなどの自由貿易圏「メルコスール」のほか、メキシコ、インドネシアと相次いで自由貿易協定を締結し、インドとの協定調印も視野に入れている。新しい貿易協定の恩恵を受けるまでには長い期間がかかるため、当面アメリカの関税によるマイナス分を補うことは難しく厳しい状況が続く。
