学校現場への導入が進んでいるデジタル教科書について。文部科学省の作業部会は、2030年度にも正式な教科書として位置づけるとした中間案をまとめた。各教科書会社では、紙では表現できないデジタルの特長を生かした教科書作りに取り組んでいる。取材した会社の教科書には、英文を音声で再生できる機能や、色覚障害がある児童や生徒が文字や背景の色を変えられる機能もある。中教審(中央教育審議会)の作業部会がおとといまとめた中間案では、デジタル教科書を“紙と同じように「正式な教科書」に位置づけることが適当”としたうえで「紙だけ」や「デジタルだけ」に加えて「紙とデジタル」を組み合わせた形式も認めるべきだとする方向性が示された。ただ、本格的な導入に向けては課題もある。その1つが教員の指導力の差。文部科学省の調査では、デジタル教科書の授業での使用頻度が4回に1回未満と実践的に活用できていない教員は36%いた。“子どもが授業とは関係ない操作をしてしまう”などの課題も指摘されている。また紙の教科書を巡っては、昨年度、文部科学省が小中学生を対象に行ったアンケート調査で“書き込みやすい”とか、“学んだことを残しやすい”といった回答がデジタル教科書よりも多く寄せられたという。どの教科書を使うかは、これまでどおり各教育委員会が選ぶとする方向性で議論されている。専門家である山梨大学教育学部・三井一希准教授は「選択肢が増えた分どう選択するのか考える必要がある」と意見を述べた。