今年の日本の夏は観測史上最も暑かったと気象庁が発表。気候変動に関する国際的な研究にも参加する専門家に最悪のシナリオを聞いた。今年は10月に入っても真夏日が相次いだ。東京都心は10月に入ってから2回真夏日となっていて、過去最多に並んでいる。この暑さについて気象庁気候情報課・吉松和義課長は会見で「夏平均でも昨年と並び歴代1位の高温となっている」、異常気象分析検討会・中村尚会長は「今年の暑さも異常気象と言って差し支えない」と述べた。福岡・太宰府では最高気温が35℃以上となる猛暑日が計62日となり、年間の猛暑日日数としての国内最多記録を更新。1年のうちの2か月以上が猛暑日だった計算。7月には栃木・佐野で41.0℃を観測するなど危険な暑さが続出し、今年6月〜8月までの平均気温は平年と比較してプラス1.76℃と去年に並び観測史上最も暑い夏となった。さらに9月に入っても猛暑日が続出し、平均気温はプラス2.52℃と去年に続き過去2番目の高さ。日本は将来どこまで暑くなってしまうのか。IPCC(気候変動に関する政府間パネル)の研究にも参加する東京大学・小坂優准教授に最悪のシナリオを聞いた。地球温暖化に拍車がかかれば最悪のシナリオでは今世紀末には4.5度の上昇が予測されているという。仮に日本の気温が約4.5度上昇した場合、20世紀末よりも猛暑日は約19日も増える。今年、東京都心で猛暑日を観測したのは20日。将来この日数が更に増加することが見込まれる。小坂准教授は「他の自然災害と一緒に起こる確率がすごく高くなる」と語った。気温が上がると海水温も上がり台風の勢力も増すと予測されている。極端に勢力の強い台風や地震など別の災害によって停電や断水が起きているところに猛暑が襲えば、熱中症など暑さの災害で被害が拡大することが予想される。さらに危険な暑さはある健康被害を引き起こし、熱中症の10倍もの死者を出していると指摘する専門家もいる。東京大学・井原智彦准教授は「熱中症の死者は30年を平均して300人ぐらい、“熱疲労”で亡くなる人は3000人ぐらい」と語った。