NHKニュースサイト「NEWS WEB」と連動して伝える。警察庁によると、全国の交通事故の発生件数は年々減少も、自転車が関係している事故の割合は増加傾向が続いている。去年自転車が関係した死亡・重症事故のうち、およそ4分の3で自転車に違反行為あった。去年6月には、東京中野区で散歩中の女性（90）が自転車にはねられ死亡する事故が起きている。こうした状況を受けて警察庁は自転車にも、自動車やオートバイのように反則金を課す「青切符」による取締りを導入することを決めた。
自転車に関わる政策の調査・提言などをしている専門家は、「『青切符』という新しい反則金の制度を入れることで、これまでよりもやや注意されることが多くなるかもしれない。自転車を使う側にしてみれば、危ないことに気づかせてくれる。事故は減ってくれるだろう。」などと話した。
青切符の導入で、対象になる利用者は16歳以上。最低限の交通ルールを知っていると考えられることや、原付免許などを取得できる年齢であるなどが考慮された。対象になる違反は、100あまりある。このうち、信号無視・一時不停止・右側通行などの通行区分違反・携帯電話を使用しながらの運転・例外的に歩道を通行できる場合でも、徐行しないなどは事故につながる恐れのある重大な違反行為として重点的に取り締まるとしている。また取締りは、通勤・通学時間帯や事故が増える夕暮れの時間帯に自転車が多い駅の周辺などで重点的に行われることが想定されている。警察官の警告に従わずに違反行為を続けた場合や事故につながるような危険を生じさせた場合には、青切符が交付される。反則金は、5000円~1万2000円程度が想定されている。
青切符による取締りを導入する背景には、交通事故全体の件数が減少する中、自転車の交通違反が重大な事故のつながるケースガ相次いでいることがある。「実効性のある取締りを行うことで、事故につながる前に意識を改めてもらおう」という狙いがある。また自転車の交通ルールに対する認識には課題がある。警察庁がおよそ5000人を対象に行なったアンケートでは、「自転車乗車中に携帯電話を使用してはいけない」という交通ルールを正しく認識している人は90％を超えていた一方で、これを守れていると回答した人は67％にとどまるなど、交通ルールを知っていても守れていない人が一定数いる。子どもからお年寄りまでが利用する身近な手段な自転車は、取締りとともに効果的な啓発が課題だ。