更新目安を超えた運用は各地に広がっており、信号機全体の24%に上っている。こうした実態を受け、警察庁は必要性の低いものは撤去するなど、信号機全体の再編を進めるよう全国の警察に求めている。マイカーが普及し交通事故が増える中、かつては信号機が次々と設置されてきた。一方で撤去の基準は明確に示されず。人口が減少し、自治体の財政が厳しくなる見通しになった今では、選択と周知を行う必要が出てきている。千葉・市原市の通学路。ここでは小学生が亡くなる事故があった。地元が信号機の新設を要望も叶わず。そこで市原市の提案で去年設置されたのが”スムーズ横断歩道”。特殊な横断歩道は歩道と同じ高さまで路面が盛り上がっている。ドライバーから見やすく、減速や一時停止を促す効果があるとされている。地元自治会の会長は「信号機をつけてもらえば一番いいが、ある程度効果は出ているので、信号機を10年20年待つよりはいいかな」と話す。”スムーズ横断歩道”は道路工事を伴うため初期コストは大きくなるが、その後の維持費がほとんどかからないため、10年ほどで信号機より割安になるとされている。また、信号機無しの安全対策については、ラウンドアバウト(環状交差点)や二段階横断歩道もある。いずれも道路工事が必要で道路を管理する区間の協力が欠かせないことが課題となっている。交通政策に詳しい埼玉大学・久保田名誉教授は「信号機は交通安全に欠かせないが、別の対策の方が効果的な現場もある。最適な対策を検討し導入していけば、合理的に安全確保しながら設置数が減ってコスト削減につながる」と指摘している。